電磁波伝搬の様子を計算するには、コンピュータを用いて計算(電磁界解析)を行う必要があります。
本研究室では計算負荷の減少または精度向上を目指し、新しい計算手法であるCIP法を開発しています。
電磁界を計算するには空間を分割し、分割した点での電界および磁界を計算します。CIP法は、値だけでなく微分値を用いてメッシュ間の関数を近似し、精度の高い手法となっています。
新しい計算手法であるCIP法ですが、実際の各種電磁界問題に適用するには、開発すべき個別技術が多くあります。本研究では、CIP法がユニバーサルな電磁界解析手法となるよう、各種個別技術の開発を行っています。
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CIP-BS法によるTE202共振モードの解析 |
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CIP法によるサブグリッド法の実装 |
ELF/VLF/LF帯(数Hzから数10 kHz)という低い電磁波は、大地と電離圏の間を長距離にわたって伝搬します
(この性質を利用した技術として、正確な時刻に合わせる電波時計があります)。
そのため電離圏の状態が変化すると、受信電波が影響を受けることが知られています。
この情報は、電離圏の状態を知るよい指標になります。
本研究室では、電離圏など地球規模のモデル化、効率的計算手法の開発、観測された受審電波異常から電離圏の同定が研究課題となります。さらに、長距離伝搬をシミュレーションするには計算量も多くなるため、計算量削減もテーマの一つになります。
最終目標は大地-電離層導波管伝搬モデルの確立で、汎用的なシミュレータ開発を目指しています。
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2次元FDTD法による大地-電離層導波管伝搬の様子
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無線通信における各種電磁界問題に取り組んできています。
都市部などのマルチパス環境下における無線通信を模擬するには電波反射箱が利用されます。一方で、どのような電波反射箱が伝搬環境の模擬に相応しいかは、事前に数値シミュレーションで検証することになります。
これまでの研究では、共振する環境は理想的なマルチパス伝搬環境とは異なることなどを明らかにしてきました。
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電波反射箱内の電界分布(1.914 GHz) |
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電界強度の平均値の周波数特性 |