電気通信大学 情報・通信工学専攻 安藤研究室

研究紹介

  研究領域1: WLP-FDTD法を用いた地殻内電磁波伝搬シミュレーション法の開発
   重み付きラゲール多項式(Weighted Laguerre Polynomial; WLP)FDTD法は、 従来の電磁界解析法であるFDTD(有限差分時間領域)法において、 時間をWLPで展開し、その展開係数を求める手法です。 従来のFDTD法と異なり、更新する時間ステップへの制限がないので、 解析対象によっては高速で計算することが可能です。
   WLP-FDTD法を地殻内の電磁波伝搬解析に利用すると、効率的に計算をすることが できます。地震などの地殻変動に伴って電磁波が発生する可能性が指摘されて いますが、この電磁波伝搬をWLP-FDTD法を用いてシミュレーションし、 地殻内の伝搬の様子を詳細に知ることができます。

沈み込むプレート付近で発生した電磁波伝搬の様子
(クリックするとGIFアニメで見られます。約4MB)
  研究領域2: 新しい電磁波解析手法であるCIP法の開発
   電磁波伝搬の様子を計算するには、コンピュータを用いて計算(電磁界解析)を行う必要があります。 本研究室では計算負荷の減少または精度向上を目指し、新しい計算手法であるCIP法を開発しています。 電磁界を計算するには空間を分割し、分割した点での電界および磁界を計算します。CIP法は、値だけでなく微分値を用いてメッシュ間の関数を近似し、精度の高い手法となっています。
   新しい計算手法であるCIP法ですが、実際の各種電磁界問題に適用するには、開発すべき個別技術が多くあります。本研究では、CIP法がユニバーサルな電磁界解析手法となるよう、各種個別技術の開発を行っています。
CIP-BS法によるTE202共振モードの解析 CIP法によるサブグリッド法の実装

  研究領域3: VLF帯大地-電離層導波管伝搬シミュレーションと電離圏電子密度同定の逆問題
   ELF/VLF/LF帯(数Hzから数10 kHz)という低い電磁波は、大地と電離圏の間を長距離にわたって伝搬します (この性質を利用した技術として、正確な時刻に合わせる電波時計があります)。 そのため電離圏の状態が変化すると、受信電波が影響を受けることが知られています。 この情報は、電離圏の状態を知るよい指標になります。
   本研究室では、電離圏など地球規模のモデル化、効率的計算手法の開発、観測された受審電波異常から電離圏の同定が研究課題となります。さらに、長距離伝搬をシミュレーションするには計算量も多くなるため、計算量削減もテーマの一つになります。
   最終目標は大地-電離層導波管伝搬モデルの確立で、汎用的なシミュレータ開発を目指しています。
2次元FDTD法による大地-電離層導波管伝搬の様子
  研究領域4: 無線通信における電波環境の電磁界解析
   無線通信における各種電磁界問題に取り組んできています。
   都市部などのマルチパス環境下における無線通信を模擬するには電波反射箱が利用されます。一方で、どのような電波反射箱が伝搬環境の模擬に相応しいかは、事前に数値シミュレーションで検証することになります。
   これまでの研究では、共振する環境は理想的なマルチパス伝搬環境とは異なることなどを明らかにしてきました。
電波反射箱内の電界分布(1.914 GHz) 電界強度の平均値の周波数特性